聖マリアンナ医科大学での精神保健指定医不正取得問題は、日本の精神医療を根底から揺るがすほど大きな問題です。
日本精神神経学会は声を上げるチャンスです。なぜならば、自分たちがかつて精神保健指定医制度に反対していたからです。
なぜ声を上げないのでしょうか?患者の人権を守り、同業者の反倫理的行為を容認しないはずの姿勢はどうなったのでしょうか?
呆れたことに、事件の発覚以降に出された声明はこちらです。
学校でメンタルヘルス教育をさせなさい、というものです。自分たちこそが誤った知識を普及して精神障害に対するスティグマを作り上げておきながら、「正しい知識」と主張するいつものマッチ・ポンプです。
彼らの意図を解釈してあげると、以下のようなものです:
「自らと他者のこころの健康に配慮し、不調が生じた場合に適
切に対応できる成人となる」→すぐに専門家に頼り、自ら精神科受診をしたり、他人に受診を促したりする人間を作りたい
「精神疾患に関する正しい知識」→脳の病気だから精神科を受診して薬を飲まないと治らないよと洗脳すればOK
「回復可能性(リカバリー)」→薬を飲み続けたら社会復帰できるようになるよと騙したら一生飲んでくれるよ。
このように自分たちの利権や市場を広げることには敏感なのに、患者の人権問題や、同業者の反倫理的行為については全く関知しないようです。昔はあれほど人権問題に敏感であり、身内の不正に対しても断固とした姿勢を示していたこの学会の凋落ぶりはすさまじいですね。